立替経費の請求書の書き方|消費税・源泉徴収の扱いと記載例
フリーランスが交通費などの立替経費を請求書に書く方法を解説。報酬と区別した明細の記載例、消費税・源泉徴収の扱い、インボイス制度の立替金精算書まで。無料・登録不要で請求書を作れるWebツールも紹介します。
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立替経費は、報酬の行と区別して請求書に書きます。「実費だから消費税も源泉徴収もかからない」とは限らず、報酬と一体で請求する交通費・宿泊費は原則どちらの対象にも含まれます。
結論: 立替経費は報酬と区別して請求書に書く
区別せずにまとめて請求すると、立替分まで自分の売上として扱われ、消費税や源泉徴収の計算に影響が出ることがあります。要点は 3 つです。
- 書き方は 2 つ: 請求書の明細に「立替」行を分けて書くか、請求書とは別に「立替金精算書」を作って添えるかのどちらかです
- 消費税: 報酬と一体で請求する交通費・宿泊費は、原則として報酬に含まれて消費税の課税対象になります。取引先の費用を純粋に肩代わりした「立替金」は、売上ではないため課税対象になりません
- 源泉徴収: 原稿料・デザイン料など源泉徴収の対象になる報酬では、旅費や宿泊費も原則として源泉徴収の対象に含まれます
立替経費を請求する 2 つの方法
立替経費の請求方法は、明細に立替行を加える「1 枚方式」と、請求書とは別に立替金精算書を作る「別紙方式」の 2 つです。それぞれの特徴は次のとおりです。
| 方式 | 書き方 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 1 枚方式 | 請求書の明細に「立替: 交通費」などの行を追加し、報酬と区別して記載 | 立替が少額・単発で、取引先が細かい書式を求めていない場合 |
| 別紙方式 | 請求書には報酬のみを記載し、立替分は「立替金精算書」+ 領収書(適格請求書)を添付 | 立替額が大きい場合や、取引先が仕入税額控除のために厳密な書類を求める場合 |
どちらの方式にするかは、取引先の経理処理で求められる厳密さが変わります。取引先が本則課税で仕入税額控除を行うなら、後述の適格請求書 + 立替金精算書が必要になるため、別紙方式が確実です。
請求前に「立替分はどの形式で請求すればよいか」を取引先に確認しておくのが、最も確実なトラブル防止策です。
立替が発生しそうな案件では、見積書の段階で「交通費は実費で別途ご請求します」と書いておくと、請求時に揉めません。取引先が用意した材料費などを報酬から差し引く「相殺」の書き方は業務委託美容師の請求書の書き方で解説しています。
請求書に立替経費を書くときの記載例
1 枚方式で書く場合のポイントは、①報酬と立替の行を分ける ②「立替」と明記する ③内容を具体的に書く、の 3 点です。明細のイメージは次のようになります。
| 品目 | 金額 |
|---|---|
| Web サイトデザイン費 | 200,000 円 |
| 小計(報酬) | 200,000 円 |
| 消費税(10%) | 20,000 円 |
| 源泉徴収税額(10.21%) | ▲20,420 円 |
| 立替: 撮影同行の交通費(○月○日 新幹線 東京—大阪 往復) | 28,000 円 |
| 請求合計 | 227,580 円 |
「交通費」とだけ書かず、「○○取材の交通費(新幹線 東京—大阪 往復)」のように日付・目的・内訳が分かる形にすると、経理担当者が業務との関連を確認しやすくなります。立替分の領収書はコピーを添付するのが一般的です(原本かコピーかは FAQ を参照)。
高速代・駐車場代のように実費行が毎月まとまって発生する業種の書き方は、軽貨物の請求書の書き方の記入例が参考になります。
報酬の行と「立替: 交通費」の行を分けた明細は、スイスイ請求(登録不要・無料で請求書・見積書を作れるアプリ)でも、品目行を足すだけで作れます。
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報酬と一体で実費請求する交通費・宿泊費は、原則として報酬に含まれ、消費税の課税対象になります。国税庁の質疑応答事例では、実費弁償の宿泊費や交通費も、交通機関等への支払いが実質的に依頼者(取引先)の直接払いと認められるものでない限り、報酬・料金に含まれ課税対象とされています(国税庁 質疑応答事例「実費弁償金の課税」・2026-08-03確認)。
つまり「実費だから消費税はかからない」とは限らず、自分の報酬として請求する形をとるなら課税売上として扱うのが原則です。
一方、取引先が本来負担すべき費用をそのまま肩代わりしただけの「立替金」は、自分の売上(対価)ではないため、消費税の課税対象になりません。この場合、上乗せせず支払った金額そのままを精算します。
インボイス制度では、この立替金の精算に書類のルールがあります。あなた(立替払いをした側)宛てに交付された適格請求書を取引先へそのまま渡しても、取引先はそれだけでは仕入税額控除の要件を満たせません。
適格請求書に加えて、その課税仕入れが取引先のものであることを明らかにする「立替金精算書」等の交付を受けて保存することで、要件を満たすとされています(国税庁 インボイス制度に関するQ&A 問94 立替金・令和6年4月改訂・2026-08-03確認)。
同 Q&A では、立替払いをした事業者が適格請求書発行事業者でなくても、経費の支払先が適格請求書発行事業者であれば取引先は仕入税額控除を行える、ともされています。インボイス未登録の免税事業者フリーランスでも、立替経費の精算自体は問題なくできるということです。
登録番号なしで請求書を出すときの本体側の書き方は、免税事業者の請求書の書き方で解説しています。
立替経費の源泉徴収 — 交通費も原則対象
原稿料・講演料・デザイン料など源泉徴収の対象になる報酬では、旅費や宿泊費の支払いも原則として報酬・料金に含まれ、源泉徴収の対象になります。国税庁のタックスアンサーでは、謝金・取材費・車代などの名目で支払われるものも実態が報酬と同じであればすべて源泉徴収の対象とされ、旅費や宿泊費も原則含まれます。
ただし、通常必要な範囲の金額で、取引先がホテルや旅行会社等へ直接支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてよいとされています(国税庁タックスアンサー No.2795「原稿料や講演料等を支払ったとき」・2026-08-03確認)。
つまり、自分がいったん立て替えて後から請求する形では、その交通費分も源泉徴収の計算に含まれるのが原則です。実務では領収書の宛名を取引先名にして実費精算する方法もありますが、源泉徴収の判断は支払う側(取引先)が行うため、扱いは事前に確認してください。
ここまでの消費税・源泉徴収の扱いを一覧にすると、次のようになります。
| 立替経費の扱い | 消費税 | 源泉徴収 |
|---|---|---|
| 報酬に含めて請求(1 枚方式で報酬扱い) | 課税対象に含まれる | 対象に含まれる(原則) |
| 立替金として区分精算(別紙方式など) | 課税対象にならない | 取引先の判断による(事前確認) |
| 取引先が交通機関等へ直接支払い | 自分の売上に含まれない | 対象に含めなくてよい |
源泉徴収税額の計算式(100 万円以下は 10.21%、100 万円超の部分は 20.42%)と対象になる報酬の範囲は、国税庁タックスアンサー No.2795 で確認できます。交通費を含めて源泉徴収する場合の請求書の記入例は、講師料の請求書の書き方で数値つきに扱っています。
よくある質問(FAQ)
Q1. 電車代のように領収書が出ない交通費はどうすればよいですか?
利用日・区間・金額をまとめた明細を請求書や精算書に添えるのが実務的な対応です。請求書等の交付を受けることが困難であるなどの理由により、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる課税仕入れに該当する場合は、適格請求書や立替金精算書の保存は不要とされています(インボイス Q&A 問 94)。
該当するかどうかは取引の内容によるため、取引先の経理担当者に確認してください。
Q2. 立替の領収書は原本とコピーのどちらを渡すべきですか?
取引先が仕入税額控除の書類として保存する場合は、原本(またはコピー + 立替金精算書)を取引先に渡す形が基本です。自分の控えも残るよう、渡す前にコピーやスキャンを取っておきます。
どちらを求めるかは取引先の経理ルールで異なるため、こちらも事前確認が確実です。
まとめ: 次にやること
- 取引先に、立替経費の請求形式(1 枚方式か別紙方式か)と源泉徴収の扱いを確認する
- 明細は「立替」と明記し、日付・目的・内訳が分かる書き方にする
- 立替分の領収書(適格請求書)を保管し、必要に応じてコピーや立替金精算書を添付する
立替経費は、報酬と行を分けて書けば、消費税・源泉徴収の扱いも 1 枚の上で読み取れます。立替行の追加と消費税・源泉徴収税額の計算を、請求のたびに手で直すのが手間です。
Excel や Word のテンプレートで自作するか、品目行を足せる請求書アプリを使うかが選択肢になります。スイスイ請求なら、報酬の行と「立替: 交通費」の行を分けた明細と税率ごとの区分集計をそのまま作れます。
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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務・法務に関する助言ではありません。制度の個別の取り扱いは国税庁の案内や税理士等の専門家にご確認ください。


