出来高請求書の書き方|建設工事の累計と今回請求額の記入例
出来高請求書は、契約金額のうち今回までの累計出来高から前回までの請求分を引いた差額を今回分として書きます。建設業法の下請代金の支払ルールと、元請が作る出来高検収書との関係まで記入例つきでまとめました。
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出来高請求書の今回請求額は、その月に進んだ分ではなく、契約金額に対する累計出来高から前回までの請求分を引いた差額です。数字は元請の査定や出来高検収書と合わせてから出します。
この記事でわかること
- 建設業法は、建設工事の請負契約で出来形部分に対する支払の定めをするときは、その時期と方法を書面に記載して相互に交付するとしている(第 19 条第 1 項第五号)(2026-09-25 確認)
- 元請負人は出来形部分に対する支払を受けたら、下請負人に相応する下請代金を、その支払を受けた日から 1 月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払う(同法 第 24 条の 3 第 1 項)(2026-09-25 確認)
- 国税庁のインボイス Q&A 問 97 によると、元請が作る出来高検収書は、仕入明細書等の記載事項を満たし、適格請求書発行事業者である下請の確認を受けて保存すれば、元請の仕入税額控除に使える。検収書に基づいて下請が出す請求書を元請が控除のために保存するなら、その請求書は適格請求書の記載事項を満たす必要がある(令和 8 年 4 月改訂・2026-09-25 確認)
まず、記入例で今回請求額の出し方を確かめます。
今回請求するのは「累計出来高 − 前回までの請求累計」
累計出来高から引く相手は、前回までの累計出来高ではなく、前回までに実際に請求した額の合計です。累計で考えると、途中で数字が直されても次の回で帳尻が合います。
契約金額 260 万円(税抜)の工事で、累計の出来高が 55% まで進んだ回の記入例です。金額は計算の形を見せるための仮の数字で、工事の相場とは関係ありません。
| 欄 | 記入例 | 出し方 |
|---|---|---|
| 契約金額(税抜) | 2,600,000 円 | 注文書・契約書の金額 |
| 累計出来高 | 1,430,000 円(55%) | 元請と合意した今回までの累計 |
| 前回までの請求累計 | 780,000 円(30%) | 前回までに請求した額の合計 |
| 今回請求額(税抜) | 650,000 円 | 累計 − 前回までの請求累計 |
| 消費税(10%) | 65,000 円 | 今回請求額 × 10% |
| 今回請求額(税込) | 715,000 円 | 税抜 + 消費税 |
前回までに請求したのは 30% にあたる 780,000 円なので、今回は 1,430,000 円との差の 650,000 円を請求します。消費税 65,000 円を足した 715,000 円が、この回の税込の請求額です。
前回の出来高が査定で後から直されても、すでに出した請求の額は動きません。
今回分だけを単独で書く形だと、前回の査定が直されたときに、各回を足しても累計と合わなくなります。累計から引く形なら、そのずれは今回の差額に吸収されます。
割合と金額を並べて書いておくと、元請は手元の査定表とそのまま照らせます。着手金・中間金・残金のように割合を先に決めて分ける請求は、請求書の分割払いの書き方が扱っています。
出来高の請求は、毎回の金額が工事の進み具合で変わる点が分割払いと違います。では、そもそも毎回の出来高で払う約束は、どこで確かめるのでしょうか。
出来高で払う約束は契約書で確かめる
毎回の出来高で払う約束があるかは、請負契約の書面に出来形部分の支払の定めがあるかで確かめます。
建設業法は、請負契約の当事者が契約の締結に際して書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付する事項を列挙しています(前掲 第 19 条第 1 項)。その第五号にあるのが、前金払や出来形部分に対する支払の定めをするときの、支払の時期と方法です。
条文は「定めをするときは」という条件つきの書き方です。出来高払いの定めがどの請負契約にも入っているとは限らず、定めのない契約で毎月の出来高請求を当たり前の前提にはできません。
工事完成後の請負代金の支払の時期と方法は、同じ第 1 項の第十二号が別の項目として挙げています。完成後にまとめて払う契約か、途中で出来形に応じて払う契約かは、書面を見れば分かります。
契約書に出来形払いの時期と方法が書いてあれば、請求書はその時期と方法に合わせて出します。契約金額の元になる見積書の作法は、フリーランスの見積書の書き方に記載 9 項目の表があります。
契約に定めがあっても、今回の出来高の割合は誰が決めるのでしょうか。
元請の査定・出来高検収書と数字をそろえる
累計出来高の欄には、自分の見込みではなく、元請と合意した査定の数字を写します。査定と請求書の数字がずれたまま出すと、元請の側で突き合わせをやり直すことになります。
出来高の支払に関わる主な書類は、次の 3 枚です。
- 元請と下請: 請負契約の書面(出来形払いを定めるなら、その時期と方法)
- 元請→下請: 出来高検収書(下請が記載事項を確認)
- 下請→元請: 出来高請求書(累計と今回請求額)
国税庁の問 97 は、元請が出来高の検収内容と金額を書いた出来高検収書を作り、下請に記載事項の確認を受けて保存する運用を取り上げています(前掲)。回答は、この運用で元請が仕入税額控除を受けることは、これまでの取扱いと変わらないとしています。
その前提として、検収書は仕入明細書等の記載事項を満たす必要があり、下請が適格請求書発行事業者であることも回答の条件です(同)。
同じ問の注記は、検収書と下請の請求書の関係にも触れています。元請から交付された検収書を元に下請が請求書を作って交付し、元請がそれを控除のために保存するなら、請求書の側に適格請求書の記載事項が要るという整理です(同)。
問 97 が答えているのは元請の側の控除の扱いで、検収書があれば下請の請求書が要らなくなるとは書かれていません。記載事項 6 項目と登録番号の欄の位置は、請求書の書き方で確かめられます。
前回の 1 枚が手元にあれば、スイスイ請求(登録不要・無料で請求書・見積書を作れるアプリ)で複製して、累計出来高と前回までの請求累計の欄を直せます。検収書の日付や番号は、備考に書き添えておけます。
割合を決めるのも査定するのも、請求書の側の仕事ではありません。請求書の上で直すのは、元請と合意した数字を写す欄だけです。
登録ゼロ・開いて 1 分、今日の 1 枚がもう出せる。メールアドレスもアカウント作成も要りません。ブラウザで開いて、そのまま作成・PDF 保存。登録不要で請求書を作る →毎月 10 件まで無料・勝手に有料にはなりません出来高の割合の算定、工程や出来形の管理、元請との検収のやり取りは、スイスイ請求では行いません。
支払の期限は、請求書の日付ではなく別の日から数えます。
元請から下請への支払は、支払を受けた日から 1 月以内
第 24 条の 3 が定める期限の起点は、工事の完成日でも請求書の発行日でもなく、元請が支払を受けた日です。
下請代金の支払のルールのうち、建設業法第 24 条の 3 第 1 項は、元請負人が出来形部分に対する支払や工事完成後の支払を受けたときの下請代金を定めています。支払う期限は、その支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内とされています。
支払う額は、元請が受けた金額の出来形に対する割合と、下請が施工した出来形部分に相応する下請代金で考えます(同)。起点が元請の受取日なので、元請への入金の時期によって、下請への支払の時期も変わります。
ここでいう「元請負人」は、下請契約の注文者で建設業者であるものと定義されています(同法 第 2 条第 5 項)。自分の取引がこの条文に当たるかは、契約の形で変わります。
同じ条の第 2 項は、下請代金のうち労務費に相当する部分を現金で支払うよう、元請に「適切な配慮」を求めています。
完成後の引渡しに関わる支払期日は、第 24 条の 6 が別に定めています。対象は特定建設業者が注文者となる下請契約で、下請の側が一定の規模の法人である場合などは除かれます。
出来形部分の支払の期限とは、起点も対象も異なる規定です。
一人親方・免税事業者の出来高請求書
登録番号のない請求書でも、累計から前回までの請求累計を引く欄の組み方は同じです。
登録番号を書く欄と、税率ごとの消費税額の書き方の 2 点が変わります。登録番号のない 1 枚に並べる 5 つの項目と記入の見本は、免税事業者の請求書の書き方で一覧になっています。
一人親方として元請から出来高で請け負うときも、記入例の上の 4 行(契約金額から今回請求額まで)はそのまま使えます。消費税の行をどう書くかは、元請が指定する様式や取り決めに合わせます。
出来高ではなく人工(日数)で受けた仕事なら、人工数の数え方と 1 枚の記入例を一人親方の請求書の書き方で扱っています。
よくある質問
Q1. 元請の査定額が、こちらの請求額より少なかったら?
請求書は、元請と合意した査定の数字に合わせて作り直します。差をどう扱うかは、契約の定めと元請との協議で決まります。
Q2. 出来高を請求するたびに、その分を売上にするのですか?
請求の回数と、売上を立てる時期は別の問題です。国税庁の消費税法基本通達 9-1-5 は、物の引渡しを要する請負について、消費税の上で売上とする時期(資産の譲渡等の時期)を、原則として目的物の全部を完成して引き渡した日としています(2026-09-25 確認)。
例外が 9-1-8 です。一部が完成し、その部分を引き渡した都度、割合に応じて工事代金を収入する特約又は慣習がある場合は、引き渡した日とされています(同)。
9-1-8 からは、工事進行基準の特例を受ける工事が除かれています(同)。手元の工事の契約が原則と例外のどちらの形かは、税理士や所轄の税務署と確かめるのが確実です。
前受金を受け取ったときの売上の時期は、請求書の分割払いの書き方で国税庁の説明を引いています。
Q3. 請求書番号や登録番号は毎回書き直しますか?
出来高の請求書も、回ごとに独立した 1 枚です。番号の振り方と各回に入れる記載事項は、請求書の分割払いの書き方の手順と同じ考え方で整えます。
まとめ: 次にやること
- 契約書で、出来形部分に対する支払の時期と方法の定めを確かめる
- 今回の請求は、累計出来高から前回までの請求累計を引いた差額で出す
- 元請の査定額や出来高検収書の数字と、請求書の数字をそろえてから送る
出来高請求書の数字は、元請と合意した累計を基準に決まります。
毎回の請求では、累計出来高と前回までの請求累計の 2 つの欄を書き換える手順が続きます。
累計の欄を前回の 1 枚から「前回までの請求累計」へ移せば、新しく入れる数字は今回の累計出来高だけになります。
その 1 枚の複製は、スイスイ請求で登録不要のまま作れます。
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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務・法務に関する助言ではありません。建設業法が自分の取引に当たるか、消費税をいつ計上するか、インボイスをどう扱うかは、所轄の税務署や税理士・弁護士等へご相談ください。


