イラストレーターの請求書の書き方|個人依頼と源泉徴収の行

イラストレーターの請求書は、品目に納品物、数量に点数を書き、依頼者が法人か、給与を払っていない個人かで源泉徴収の行を分けます。個人からの依頼に源泉徴収が要らない場合の根拠(所得税法204条)と記入例をまとめました。

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イラストレーターの請求書の書き方|個人依頼と源泉徴収の行

イラストレーターの請求書の書き方は、品目に納品物、数量に点数を書くところまで他の職種と同じで、源泉徴収の行を置くかが依頼者で分かれます。報酬が源泉徴収の対象なら、法人や給与を払っている個人事業主の依頼では行を置き、給与を払っていない個人からの個人依頼では置きません。

この記事でわかること

  • 所得税法 204 条 1 項は、柱書でその支払をする者に所得税の徴収と納付を求め、1 号にさし絵やデザインの報酬を挙げている(2026-09-30 確認)
  • 国税庁は質疑応答事例で、広告宣伝用ポスターのイラストへの報酬をデザインの報酬に当たると回答している。照会の事実関係を前提とした一般的な回答だと注記がある(令和 7 年 8 月 1 日現在の法令・通達等・2026-09-30 確認)
  • 給与等について所得税を徴収して納める立場にない個人が支払う 1 号の報酬には、204 条 1 項が適用されない(同条 2 項 2 号)。国税庁のタックスアンサー No.2502 も同じ扱いを案内している(令和 8 年 4 月 1 日現在法令等・2026-09-30 確認)
  • 消費税法 57 条の 4 第 1 項によると、適格請求書発行事業者が適格請求書を渡さなければならないのは、取引の相手の事業者(免税事業者を除く)に交付を求められたときである(2026-09-30 確認)

まず、源泉徴収の行がある 1 枚の記入例で、明細の組み方を確かめます。

品目は納品物と用途、数量は点数で書く【記入例】⁠

品目には納品物の名前と用途を、数量には点数を書き、単価 × 点数で行の金額を出します。用途まで書いておくと、依頼者は発注の内容と行を照らし合わせやすくなります。

ポスター用のイラスト 1 点に、差分を 3 点付けて納めた月の 1 枚です。数字は行の並びを見せるための設例で、報酬の目安ではありません。

  • ポスター用イラスト 1 点: 63,000 円
  • 差分イラスト 2,900 円 × 3 点: 8,700 円
  • 小計(税抜): 71,700 円
  • 消費税(10%): 7,170 円
  • 合計(税込): 78,870 円
  • 源泉徴収税額: ▲7,320 円
  • 差引お支払額(源泉徴収後): 71,550 円

源泉徴収税額は、税抜の小計 71,700 円に 10.21% を掛けた額です。報酬と消費税を明確に区分して書けば、税抜の報酬だけを対象にして差し支えないと国税庁のタックスアンサー No.2792 は案内しています(令和 8 年 4 月 1 日現在法令等・2026-09-30 確認)。

100 万円を超える報酬の式や報酬額ごとの税額は、源泉徴収税額の計算の早見表で引けます。見積の段階で源泉徴収をどう書き添えるかは、フリーランスの見積書の書き方が扱っています。

では、源泉徴収税額と差引お支払額の 2 行は、どの依頼でも置くものなのでしょうか。

源泉徴収の行を置くかは、依頼者の立場で決まる⁠

行を置くかどうかは、イラストの種類より先に、代金を払う依頼者がどの立場かで分かれます。「個人からの依頼なら要らない」「法人なら必ず要る」という覚え方は、どちらも半分だけ当たっています。

所得税法 204 条 1 項が源泉徴収を求める相手は、1 号の報酬の「支払をする者」です(前掲)。この主語には、法人と個人の区別がありません。

除外を定めているのが同条 2 項 2 号です。給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人以外の個人から支払われる報酬には、1 項を適用しないとしています(同)。

依頼者源泉徴収の行根拠
法人(制作会社・出版社など)置く(1 号の報酬に当たるとき)204 条 1 項 1 号
給与を払っている個人事業主置く(1 号の報酬に当たるとき)2 項 2 号の除外に当たらない
給与を払っていない個人置かない204 条 2 項 2 号・No.2502

表の「給与を払っている」は、給与等について所得税を徴収して納める立場にあることを指します。3 行目には、一般の個人のほか、給与を払わずに営む個人事業主も入ります。

個人の依頼者でも、その立場にあれば除外には当たりません。反対に法人の依頼でも、報酬が 1 号に当たらなければ、行を置く前提がありません。

国税庁は、広告宣伝用ポスターのイラストを 1 号に当たる例として回答しています(前掲 質疑応答事例)。条文の 1 号には、この「デザインの報酬」とは別に「さし絵」も挙がっています。

3 行目の依頼では、1 枚の最後が変わります。

給与を払っていない個人の依頼は、源泉徴収の行を置かない 1 枚に⁠

給与を払っていない個人からの依頼では、合計(税込)の 78,870 円がそのままご請求金額になります。

イラストの請求書は依頼者で最後の2行が変わる。法人や給与を払っている個人事業主の依頼で報酬が源泉徴収の対象なら差引お支払額71,550円、給与を払っていない個人の依頼は78,870円

依頼者がどちらの立場かは、請求書の側からは見えません。発注のやり取りの中で、源泉徴収をして支払う予定かを依頼者に尋ねておくと、振込額の食い違いを防げます。

一般の家庭から受ける仕事の例は、家庭教師の請求書の書き方が保護者宛ての 1 枚として扱っています。

行あり・行なしの 2 枚は、スイスイ請求(登録不要・無料で請求書・見積書を作れるアプリ)の源泉徴収の切り替えで作り分けられます。オンにすると源泉徴収税額と差引お支払額の行が紙面に入り、オフなら 2 行とも出ません。

差し引いた税を国に納めるのは依頼者の側で、請求書の行は、その差引と振込額を合わせておくためのものです。行を置いたかどうかで、源泉徴収をするかどうかが変わるわけではありません。

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依頼者が源泉徴収をする立場かの判定、イラストの用途ごとの区分の判断、税務の相談は、スイスイ請求では扱いません。複製した 1 枚は源泉徴収の設定も前の 1 枚から引き継ぐため、依頼者が変わったら切り替え直します。

源泉徴収の行の次に、依頼者で扱いが分かれるのは消費税の欄です。

登録番号の欄は、相手が事業者かどうかで義務の条件が変わる⁠

インボイス登録をしている場合、適格請求書を渡す義務は、免税事業者を除く事業者の依頼者から求められたときに生じます。

消費税法 57 条の 4 第 1 項の主語は適格請求書発行事業者で、交付を求める側の条件は「他の事業者」です(前掲)。事業者でない一般の個人からの依頼は、この条件に当たりません。

条件に当たらない相手に登録番号を書いてはいけない、という定めではありません。個人事業主の依頼者でも、義務が生じるのは、その依頼者が免税事業者でなく、交付を求められたときです。

インボイス登録をしていないまま出す 1 枚は、免税事業者の請求書の書き方に記載例があります。

同じ依頼者でも、修正や追加で行が増える月があります。

修正料や差分の行を足しても、扱いは報酬と同じ⁠

修正料・差分・特急料のように名目を分けて行を足しても、実態が報酬なら源泉徴収の対象から外れません。

国税庁のタックスアンサー No.2792 の注意事項 2 によれば、謝礼や取材費、車代という名目で払っても、実態として報酬・料金等に当たるなら源泉徴収の対象です(前掲)。行の名前を変えても、扱いは変わりません。

記入例でも、差分イラスト 3 点の行を税抜の小計 71,700 円に含めて税額を出しています。

打ち合わせの交通費を別の行で請求するときの源泉徴収の扱いは、立て替え経費の請求書の書き方の源泉徴収の節で確かめられます。

よくある質問⁠

Q1. デザイナーの請求書も同じ考え方ですか?⁠

所得税法 204 条 1 項 1 号は「デザインの報酬」も挙げており、依頼者の立場で行が分かれる点は同じです。

デザインの範囲について、国税庁の所得税基本通達 204-7 は、グラフィックデザインや工業デザイン、パッケージデザインなど 9 つを例に挙げています(2026-09-30 確認)。「次のようなものがある」という例示なので、ここに無い仕事が対象外と決まるわけではありません。

Q2. 個人の依頼者から「源泉徴収して払います」と言われたら?⁠

給与等について源泉徴収して納める立場の個人事業主なら、2 項 2 号の除外に当たらないため、行を置いて振込額を合わせます。

その立場にあるかは依頼者の側の事情で決まり、請求する側が決めるものではありません。分からないときは、行を置くかどうかを依頼者に尋ねてから 1 枚を作ります。

Q3. SNS 用や配信用のイラストも対象になりますか?⁠

国税庁の質疑応答事例は、広告宣伝用ポスターのイラストについての照会に答えたものです(前掲)。用途の違う仕事にそのまま当てはまるとは限らないため、依頼者や税務署、税理士に確かめてください。

まとめ: 次にやること⁠

  1. 依頼者が法人か、個人なら給与を払って源泉徴収をする立場かを確かめる
  2. 行あり・行なしのどちらかで 1 枚を作る(行ありの税額は早見表で引く)
  3. 修正や差分の行を足すときも、報酬の行として小計に入れる

イラストの請求書で依頼者ごとに変わるのは、源泉徴収税額と差引お支払額の最後の 2 行です。

依頼者が入れ替わる月は、前の 1 枚から写した源泉徴収の設定が合っているかを、送る前に見比べることになります。

依頼者ごとに行あり・行なしの 1 枚を分けて残しておけば、翌月はその依頼者の 1 枚を写すだけで設定がそろいます。

その切り替えは、スイスイ請求の源泉徴収のオン・オフ 1 つで紙面に反映されます。


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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務・法務に関する助言ではありません。源泉徴収が要るか、報酬がどの区分に当たるか、消費税をどう扱うかの個別の判断は、依頼者や所轄の税務署、税理士等へご確認ください。

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