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講師料の請求書の書き方|源泉徴収10.21%・手取り契約の記入例つき

講師料・講演料の請求書は、講師料・資料作成費・交通費を行分けし、報酬と消費税を区分記載すれば源泉徴収10.21%の対象を報酬額のみにできます。手取り契約の逆算(÷0.8979)や謝金名目の扱いまで国税庁の一次情報で整理します。

公開日: 2026-08-14

この記事でわかること

  • 講師料の請求書は「講師料・資料作成費・交通費」を行分けし、源泉徴収税額を差し引いて書くこと
  • 報酬と消費税を区分記載すれば、源泉徴収 10.21% の対象を消費税抜きの報酬額のみにできること
  • 「手取り○円で」と言われたときの逆算(手取額 ÷ 0.8979)と請求書への落とし込み方
  • 「謝金」「車代」という名目でも、実態が講演料なら源泉徴収の対象になること

結論: 講師料の請求書は「行分け + 源泉徴収の差し引き」で書く

**講師料・講演料の請求書は、講師料・資料作成費・交通費などを明細の行で分け、消費税を載せたうえで源泉徴収税額を差し引いた「差引請求額」まで書けば成立します。**セミナー・研修・講演の講師をフリーランスや副業で請け負う場合、雇用と違って報酬を受け取る側が自分で請求書を発行するのが基本です。まず数字の通る記入例から示します。

| 品目 | 金額 | |---|---| | 講師料(新人研修・2026年8月20日実施) | 80,000 円 | | 資料作成費 | 20,000 円 | | 小計(税抜) | 100,000 円 | | 消費税(10%) | 10,000 円 | | 源泉徴収税額(100,000 円 × 10.21%) | ▲10,210 円 | | 差引請求額 | 99,790 円 |

講師料の請求書の記入例。講師料・資料作成費を行分けし、消費税 10% と源泉徴収税額 10.21% を明記して差引請求額を書く

迷いやすいのは ①源泉徴収の書き方 ②交通費をどの行に書くか ③「手取りで○円」と言われた場合、の 3 点です。この順番で、国税庁の一次情報を確認しながら整理します。

講師料の請求書に必要な記載項目

**基本の記載項目は、ほかの請求書と同じ「発行者名・宛名・発行日・請求書番号・明細・合計額・振込先・支払期日」です。**講師業ならではのポイントは次の 3 つです。

  • 品目には実施日と内容を書く: 「講師料(◯◯研修・2026年8月20日実施)」のように書くと、主催者側の検収と経理処理がスムーズです
  • 講師料と付帯費用は行を分ける: 資料作成費・事前打ち合わせ費・交通費は別の行に分けると、源泉徴収の対象範囲の確認がしやすくなります
  • 源泉徴収税額の行を設ける: 源泉徴収がある場合は「源泉徴収税額 ▲◯円」の行を入れ、差引請求額まで書くのが実務の定番です

会社員の副業で初めて請求書を出す場合の基本項目(個人名での発行や宛名の書き方)は副業の請求書の書き方にまとめています。

源泉徴収はどう書く?講師料の 10.21% 計算例と区分記載

**講演料は源泉徴収の対象で、税率は 100 万円以下の部分が 10.21%、100 万円を超える部分が 20.42% です。**支払金額が 100 万円以下なら「支払金額 × 10.21%」で計算し、1 円未満の端数は切り捨てます(国税庁 タックスアンサー No.2795・2026-08-14 確認)。実際に税額を計算して納めるのは支払者である主催者側ですが、請求書に源泉徴収税額を明記しておくと金額の行き違いを防げるため、記載するのが実務の慣行です。

このとき、報酬の額と消費税等の額を請求書で明確に区分して書いていれば、源泉徴収の対象を消費税抜きの報酬額のみとして差し支えないとされています(前掲 No.2795 注書き)。冒頭の記入例では、税抜 100,000 円と消費税 10,000 円を区分記載しているため、源泉対象は 100,000 円だけです。区分せず税込 110,000 円と書くと、110,000 円全体が源泉対象になり得るため、手取りが変わります。区分記載は講師側にメリットのある書き方です。

源泉徴収の対象になる報酬の範囲や計算の詳細は、国税庁タックスアンサーで確認できます。自分の業務が対象かどうか迷う場合は、主催者や税理士に確認してください。

「手取り○円でお願いします」と言われたら【手取り契約の逆算】

**手取り額だけが決まっている契約では、「手取額 ÷ 0.8979 = 支払金額」で逆算してから請求書を書きます。**国税庁は、税引手取額を報酬とする契約(いわゆる手取り契約)について、税率 10.21% の場合は手取額を 0.8979 で割り戻して支払金額を算出する方法を示しています。手取り 10 万円の例では、支払金額 111,370 円・源泉徴収税額 11,370 円です(国税庁 タックスアンサー No.2792 QA「手取契約の場合の源泉徴収税額の計算方法」・2026-08-14 確認)。

請求書には、逆算した支払金額 111,370 円を報酬額として書き、源泉徴収税額 ▲11,370 円を差し引いて差引請求額 100,000 円とします。「手取り 10 万円だから請求書も 10 万円」と書いてしまうと、源泉徴収後の受取額が約 89,790 円になってしまい、約束した手取りに届きません。講師料は手取り指定の依頼が多いため、この逆算は覚えておくと確実です。

交通費・宿泊費はどの行に書く?源泉の対象になる場合・ならない場合

**交通費・宿泊費を請求書に載せて講師が受け取る場合、原則としてその分も源泉徴収の対象に含まれます。**一方、主催者が交通機関やホテルに直接支払い、講師を経由しない場合は、源泉徴収の対象に含めなくてよいとされています(国税庁 タックスアンサー No.2792 注意事項・2026-08-14 確認)。

つまり書き方は 2 通りです。

  • 講師が立て替えて請求書に載せる: 「交通費(実費)」の行を分けて書く。例えば講師料 80,000 円 + 交通費 4,000 円なら、源泉対象は 84,000 円(税抜・区分記載の場合)で、源泉徴収税額は 84,000 円 × 10.21% = 8,576 円(1 円未満切捨て)
  • 主催者が直接手配・支払い: 交通費・宿泊費は請求書に載らず、講師料だけを請求する

どちらの扱いにするかは主催者側の経理処理にも関わるため、登壇前に「交通費は実費請求か、そちらで手配か」を確認しておくとスムーズです。立て替え経費の明細の書き方や領収書の扱いは立て替え経費の請求書の書き方で詳しく解説しています。

インボイス(適格請求書)で講師料を請求する場合に足す項目

**主催者からインボイスを求められたら、これまでの項目に登録番号・適用税率・税率ごとに区分した消費税額等を加えます。**国税庁が挙げる適格請求書の記載事項は、①発行者の氏名または名称と登録番号 ②取引年月日 ③取引内容 ④税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率 ⑤税率ごとに区分した消費税額等 ⑥交付を受ける事業者の氏名または名称、の 6 項目です(国税庁 タックスアンサー No.6625・2026-08-14 確認)。講師料・資料作成費と行を分ける明細の構造はそのままで、この 6 項目を満たせば適格請求書になります。

インボイス発行事業者に登録していない免税事業者は、登録番号なしの請求書をこれまでどおり発行できます。登録番号なしの場合の書き方は免税事業者の請求書の書き方で解説しています。なお、区分記載で源泉対象を報酬額のみにできる取り扱いは、インボイス制度開始後も変わりません(前掲 No.2795 注書き)。

「謝金」「車代」という名目でも源泉徴収の対象になる?

名目が謝金・車代・調査費などであっても、その実態が講演料と同じであれば源泉徴収の対象になります(前掲 No.2795・No.2792 注意事項)。講師の仕事は「謝金」「謝礼」の名目で依頼されることが多いため、「謝金だから源泉はない」とは判断できません。請求書の品目も、名目に関わらず「講師料(◯◯セミナー)」のように実態がわかる書き方にしておくと、主催者側の処理と食い違いにくくなります。

対象になるかどうかの最終的な判定は支払の実態によります。迷ったら、請求書を出す前に主催者へ「源泉徴収はありますか」と確認し、必要に応じて税理士や税務署に相談してください。

講師料の請求書をスマホでそのまま作るなら

**スイスイ請求なら、会員登録なしでブラウザから請求書を作成でき、データは端末に保存されます。**明細行を自由に追加できるため、講師料・資料作成費・交通費の行分けや源泉徴収税額の記載もそのまま入力できます。登壇や研修が終わったその場でスマホから PDF を発行でき、主催者から領収書を求められたら、作った請求書を領収書に変換して発行することも可能です。単発の登壇で月に 1 枚だけ必要な場合でも、無料で必要な分だけ作れます。

まとめ: 講師料の請求書は「行分け・区分記載・差引請求額」の 3 点で書ける

  • 明細は講師料・資料作成費・交通費を行分けし、源泉徴収税額 ▲◯円 → 差引請求額の順で書く
  • 講演料の源泉徴収は 100 万円以下の部分が 10.21%。実際に納めるのは主催者側だが、請求書への明記が実務の定番
  • 報酬と消費税を区分記載すれば、源泉対象を消費税抜きの報酬額のみにできる(インボイス開始後も不変)
  • 手取り契約は「手取額 ÷ 0.8979 = 支払金額」で逆算してから請求書にする(手取り 10 万円 → 支払金額 111,370 円)
  • 交通費は、請求書に載せれば原則源泉対象・主催者の直接支払いなら対象外。事前にどちらか確認する
  • 「謝金」「車代」名目でも実態が講演料なら源泉対象。迷ったら主催者・税理士に確認する

よくある質問

Q1. 主催者から領収書も求められました。請求書とは別に作るのですか?

振込払いなら振込記録が残るため、領収書を求められない場合もありますが、当日現金払いの講演では領収書が必要になることがあります。スイスイ請求では、作成した請求書を領収書に変換できるため、同じ明細をもう一度入力し直す必要はありません。

Q2. 毎週の継続レッスンは、1 回ずつ請求書を出すのですか?

主催者との取り決めによりますが、月末に 1 か月分をまとめて 1 枚で請求する「月締め」が実務では一般的です。品目を「◯月分 レッスン料(全 4 回)」とまとめるか、実施日ごとに行を分けるかは、主催者の検収のしやすさで選びます。まとめ方の詳細は月締めの合計請求書の作り方で解説しています。

Q3. 会社員の副業で講師をしています。個人名で請求書を出せますか?

出せます。開業届や屋号がなくても、個人名で請求書を発行できます。宛名・振込先など副業ならではの記入ポイントは副業の請求書の書き方にまとめました。

Q4. 個人が主催する勉強会でも源泉徴収されるのですか?

源泉徴収を行うかどうかは、支払者である主催者側の義務・体制によって変わります。主催者が源泉徴収を行わない場合は、請求書に源泉徴収税額の行を入れず、報酬と消費税だけで請求します。請求書を作る前に「源泉徴収はありますか」と主催者へ確認するのが確実です。

Q5. 時間単価で講師料が決まっている場合はどう書きますか?

「単価 = 時給、数量 = 稼働時間」の形で明細に書けます。稼働時間の端数(15 分 = 0.25)や消費税の端数処理を含めた書き方は時給の請求書の書き方で詳しく解説しています。

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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務・法務に関する助言ではありません。源泉徴収の要否や対象範囲の個別の判断は、国税庁タックスアンサー・税務署・税理士等の専門家にご確認ください。