副業の請求書の書き方|会社員でも個人名でOK・記入例つき
開業届や屋号がない会社員でも、個人名で請求書を発行できます。必須項目の記入例、免税事業者の消費税の書き方、源泉徴収10.21%の記載例、住所はどこまで書くかまでを国税庁の一次情報で整理します。スマホだけで作る手順も紹介します。
公開日: 2026-08-11
この記事でわかること
- 開業届や屋号がない会社員でも、個人名で請求書を発行できること
- 副業の請求書に書く必須項目と記入例、免税事業者の消費税の書き方
- 源泉徴収がある報酬の記載例(10.21% で 10 万円なら源泉徴収税額 10,210 円)
- 住所は国税庁が挙げる記載事項に含まれないこと、出した後の保存と確定申告の目安
会社員でも請求書は出せる?【結論: 個人名で OK】
**開業届や屋号がなくても、会社員が個人名で請求書を発行することに何の問題もありません。**請求書の発行に資格や届出は不要で、法律上の様式の定めもありません。取引先が求めているのは「誰が・いつ・何を・いくらで」提供したかが分かる書類であって、発行者が個人事業主かどうかではありません。
初めての副業の請求で迷いやすいのは、①何を書くか ②消費税をどう書くか ③源泉徴収がある場合にどう書くか ④住所などの個人情報をどこまで書くか、の 4 点です。この記事では、この順番で国税庁の一次情報を確認しながら整理します。
副業の請求書に書く項目一覧【記入例つき】
**書く項目は 8 つ押さえれば十分です。**国税庁が適格請求書(インボイス)の記載事項として挙げているのは、発行者の氏名または名称・取引年月日・取引内容・税率ごとに区分した対価の額・消費税額等・交付を受ける事業者の氏名または名称などです(国税庁 タックスアンサー No.6625・2026-08-11 確認)。副業でインボイス登録をしていない場合は登録番号と消費税額の区分は不要なので、実務上は次の 8 項目になります。
| 項目 | 記入例 | |---|---| | 宛名 | 株式会社◯◯ 御中 | | 発行者名 | 山田 太郎(個人名で OK) | | 請求書番号 | 2026-001(自分で採番) | | 発行日 | 2026年8月31日(締め日に合わせる) | | 取引内容 | Web サイト用記事執筆(8月分・3本) | | 金額 | 30,000 円(税込) | | 支払期日 | 2026年9月30日(契約・発注書に従う) | | 振込先 | ◯◯銀行 ◯◯支店 普通 1234567 ヤマダタロウ |
屋号の欄は空欄でかまいません。振込手数料をどちらが負担するかは事前に取り決めておき、先方負担なら「振込手数料は貴社にてご負担願います」と備考に書き添えます。
消費税はどう書く?【免税事業者(副業のほとんど)の場合】
**インボイス登録をしていない免税事業者は、税込の合計金額だけで問題ありません。**副業の年間売上が 1,000 万円を超えることはまれなので、ほとんどの会社員の副業は消費税の免税事業者です。免税事業者のままでも消費税相当額を含んだ金額で請求すること自体は制度上問題ありませんが、登録番号と誤認されるような番号を書くことはできません。
インボイス発行事業者として登録を受けると、課税事業者として消費税の申告が必要になります(国税庁 インボイス制度特設ページ・2026-08-11 確認)。また、取引先には 2031 年 9 月末まで、インボイスの保存がなくても仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置が用意されています(同ページ)。「登録していないと取引できない」わけではないので、取引先から求められていない段階で慌てて登録する必要はありません。登録番号なしの請求書の書き方は免税事業者の請求書の書き方の記事で詳しく解説しています。
源泉徴収がある仕事の書き方【10.21% の記載例】
**原稿料や講演料、デザイン報酬などは、支払側(取引先)が源泉徴収をしてから振り込みます。**源泉徴収の対象になるのは、原稿料や講演料、弁護士・税理士など特定の資格を持つ人への報酬などです。謝礼・取材費などの名目でも、実態が報酬・料金と同じであれば源泉徴収の対象になります(国税庁 タックスアンサー No.2792・2026-08-11 確認)。
税率は 100 万円以下の部分が 10.21% です(100 万円を超える部分は 20.42%。1 円未満の端数は切り捨て)(国税庁 タックスアンサー No.2795・2026-08-11 確認)。記載例は次のとおりです。
- 原稿料(8月分): 100,000 円
- 源泉徴収税額(10.21%): ▲10,210 円
- 差引請求額: 89,790 円
なお、請求書で報酬の額と消費税等の額を明確に区分して書いた場合には、源泉徴収の対象を消費税抜きの報酬額のみにできる取り扱いがあります(前掲 No.2792)。源泉徴収の要否は業務の内容によって異なるため、初めての取引では「源泉徴収はありますか」と支払側の取引先に確認してから請求書を作るのが確実です。
住所や個人情報はどこまで書く?
**請求書に住所を書くことは、国税庁が挙げる記載事項には含まれていません。**前掲の No.6625 が挙げる適格請求書の記載事項は氏名または名称・登録番号・取引年月日・取引内容・対価の額・税率・消費税額等・交付先の氏名または名称で、発行者の住所はこの中にありません。自宅住所を取引先に知らせたくない場合、制度上は氏名と連絡先(メールアドレスや電話番号)で足ります。
ただし、取引先の経理ルールや支払調書の作成で住所の記載を求められることは実務上よくあります。求められた場合に備えて、住所を書く欄は空けておき、必要な取引先にだけ記載する運用にしておくと柔軟に対応できます。
出した後にやること: 控えの保存と確定申告
**請求書の控えは、収入の根拠資料としてそのまま残しておきます。**インボイス発行事業者として登録している場合は、交付した写しを課税期間の末日の翌日から 2 か月を経過した日から 7 年間保存する義務があります(前掲 No.6625)。登録していない場合も、確定申告や取引先からの問い合わせに備えて、発行した請求書は年分ごとにまとめて保管しておくと安心です。
確定申告は、給与を 1 か所から受けていて給与の全部が源泉徴収の対象となる場合、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計が 20 万円を超える人に必要です(国税庁 タックスアンサー No.1900・2026-08-11 確認)。副業の所得がこの基準を超えそうな場合は、請求書の控えと経費の領収書を揃えておくと申告の準備が一気に楽になります。個別の税務判断は税務署または税理士に確認してください。
スマホで 1 分、登録不要で請求書を作る手順
**スイスイ請求なら、会員登録なしでブラウザから請求書を作成でき、データは端末に保存されます。**Excel のテンプレート探しから始める必要はなく、スマホで開いて宛名・品目・金額を入力すれば、その場で PDF になります。明細行や備考欄は自由に編集できるので、源泉徴収税額の行を入れた請求書や、免税事業者の税込表示にもそのまま対応できます。月末にたまにしか請求しない副業でも、会計ソフトを契約せずに必要な 1 枚だけを作れます。
まとめ: 副業の請求書は「個人名 + 8 項目」で成立する
- 開業届・屋号がない会社員でも、個人名で請求書を発行できる。資格も届出も不要
- 書くのは宛名・発行者名・請求書番号・発行日・取引内容・金額・支払期日・振込先の 8 項目
- インボイス未登録なら税込合計だけで OK。登録番号と誤認される記載はしない
- 原稿料など源泉徴収がある報酬は 10.21% の源泉徴収税額と差引請求額を書くと親切
- 住所は国税庁の記載事項に含まれない。求められた取引先にだけ書く運用でよい
- 副業所得が 20 万円を超えるなら確定申告に備えて控えを保管する
よくある質問
Q1. 会社員が請求書を出すのに開業届は必要ですか?
不要です。請求書の発行に資格や届出の要件はなく、開業届や屋号がなくても個人名で発行できます。開業届は所得税の手続き上のものであり、請求書を出せるかどうかとは関係ありません。
Q2. 発行日は作業が終わった日と締め日のどちらにすべきですか?
取引先の締め日に合わせるのが実務の基本です。「月末締め・翌月末払い」の取引先なら、発行日は月末の日付にし、支払期日は契約や発注書の取り決めに従って記載します。初めての取引では締め日と支払サイトを事前に確認しておくとスムーズです。
Q3. 副業でもインボイス登録をしないと仕事を受けられませんか?
そうとは限りません。インボイス発行事業者に登録すると課税事業者として消費税の申告が必要になる一方、取引先には 2031 年 9 月末まで仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があります(国税庁)。登録するかどうかは、取引先の意向と自分の売上規模を見て判断すれば十分です。
Q4. 複数の取引先に請求する場合、請求書番号はどう付けますか?
自分が管理しやすい連番で問題ありません。たとえば「2026-001」のように年 + 通し番号にしておくと、確定申告の時期に請求書の控えと入金を突き合わせる作業が楽になります。取引先ごとに枝番を付ける方法もあります。
関連記事
- 免税事業者の請求書の書き方 — 登録番号なしの請求書の記載項目と消費税相当額の書き方
- 請求書を無料・登録不要で作成する方法 — 請求書作成ツールの選び方の総論
- スマホで請求書を作るアプリの選び方 — アプリ選定の比較軸
※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務に関する助言ではありません。源泉徴収の要否や確定申告の個別の判断は、国税庁タックスアンサー・税務署・税理士等の専門家にご確認ください。