稼働報告書の書き方|業務委託の記入例と請求書との時間のずれ
業務委託で稼働報告書を求められたら、相手の様式がない限り、作業日・作業内容・時間と月の合計を1枚にまとめます。月額固定と時間単価の2つの記入例で、報告書の実測と請求書の丸めた時間がずれる理由と書き添え方を整理しました。
公開日: 約 8 分で読めます

稼働報告書の書き方は、相手から様式の指定がなければ、作業日・作業内容・時間と月の合計を並べた 1 枚で足ります。月額固定と時間単価の 2 つの記入例のとおり、報告書は実測、請求書は契約で丸めた時間で書き、ずれの理由を 1 行書き添えれば足ります。
報告する場面と報酬の示し方について、条文にあること
- 民法 645 条は、受任者が報告する場面を 2 つ定めています。委任者の請求があるときはいつでも処理の状況を、委任が終了した後は遅滞なく経過と結果を報告します(e-Gov 法令検索 民法・2026-06-24 施行の現行版・2026-10-13 確認)
- 同法 656 条は、委任の節の規定を、法律行為でない事務の委託(準委任)に準用しています(同)
- フリーランス法 3 条 1 項は、従業員を使用しない個人などの特定受託事業者に業務委託をした事業者に、報酬の額などを直ちに示すよう求めています(e-Gov 法令検索 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律・2024-11-01 施行の現行版・2026-10-13 確認)。報酬の額は、具体的な金額の明示をすることが困難なやむを得ない事情がある場合には、算定方法の明示で足ります(e-Gov 法令検索 公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則 1 条 3 項・2026-05-21 施行の現行版・2026-10-13 確認)
稼働報告書に決まった様式はない。相手の指定と報酬の決め方で1枚の形を選ぶ
民法 645 条は報告する場面を決めているだけで、稼働報告書の様式や「毎月」という頻度は条文にありません。準委任でも、月ごとに何を書くかは契約と相手の求めで決まります(前掲 645 条・656 条)。
業務委託で自分が出す 1 枚の形は、相手の様式の指定、報酬の決め方、時間単価なら丸めの取り決め、の 3 つを上から当てて選びます。
- (a) 相手の様式・項目の指定がある: 相手の様式に、記録した実測の時間を写す
- (b) 成果物一式の請負: 報告の定めも求めもなければ作らない。求められたら記入例 1 の形(時間は書くが、請求額は変わらない)
- (c) 指定なし・月額固定: 記入例 1 の形(時間は書くが、請求額は変わらない)
- (d) 指定なし・精算幅つきの月額: 合計時間が精算の基準になる(よくある質問 Q2)
- (e) 指定なし・時間単価で丸めの取り決めあり: 記入例 2 の形(報告書は実測、請求書は丸めた時間)
- (f) 時間単価で丸めの取り決めがない: 請求の前に単位を相手と決めてから (e) へ
645 条は委任と準委任の規定なので、(b) の請負で報告を出すかは契約と相手の求めで決まります。6 つの出口は本記事で分けたもので、法律や業界が決めた区分ではありません。
日額の契約は、時間を日数に、15 分単位を半日単位などに読み替えて、(e)(f) と同じに扱います。
報酬の決め方も丸めの取り決めも思い出せないなら、判定の前に契約書か発注書を開きます。(c) か (e) に当たったら、次の記入例がそのまま 1 枚の形になります。
月額固定と時間単価の記入例(実測41:50・請求42.00時間の差の書き添え方)
相手の様式がなければ、稼働報告書は宛先と対象期間、作業日ごとの行、月の合計の 3 段で 1 枚に収まります。作業日ごとの行は、たとえば「10/1(木) 保守 / 定期点検 2:15」のように 1 件を 1 行で並べます。
| 欄 | 記入例 1(月額固定) | 記入例 2(時間単価) |
|---|---|---|
| 宛先・対象期間 | ◯◯株式会社 御中・10 月 1 日〜31 日 | △△株式会社 御中・同じ期間 |
| 作業日ごとの行 | 作業日・作業内容・時間 | 作業日・作業内容・時間 |
| 月の合計 | 142:00(20 日分) | 41:50 |
| 請求書の明細 | 1 式 300,000 円 | 42.00 時間 × 5,000 円 |
| 請求額(税込) | 330,000 円 | 231,000 円 |
記入例 1 は、システム開発の準委任を月額 300,000 円(税抜)で受けた月です。報告書には 10 月の 20 日分・合計 142:00 を書き、請求書は「1 式 300,000 円」の 1 行に消費税 30,000 円を足した 330,000 円です。
報告書の時間は相手が稼働を確かめるためのもので、142:00 が 120:00 でも請求額は同じです。毎月同じ額で出すときに直す箇所は、毎月同額の請求書の書き方にあります。
記入例 2 は、保守の準委任を時間単価 5,000 円で受け、発注書に「15 分単位で切り上げ」とある月です。10 月の実測は 41 時間 50 分で、報告書の合計にはこの 41:50 をそのまま書きます。
請求書は 15 分単位に切り上げた 42.00 時間で、42.00 × 5,000 円 = 210,000 円に消費税 21,000 円を足した 231,000 円です。差の 10 分は、請求書の備考に次の 1 行で添えます。
実測 41:50(稼働報告書のとおり)を、契約の 15 分単位・切り上げで 42.00 時間として計算しています。
2 枚の時間が揃っていなくても、この 1 行で相手は両方を照らし合わせられます。2 つの例は消費税を上乗せする課税事業者の形で、単価と時間は仮に置いたもので相場を示すものではありません。
どちらの例も、源泉徴収を差し引かない取引先として計算しました。対象になる報酬の範囲は、源泉徴収税額の計算で確かめられます。
記入例 2 の 1 か月は、スイスイ請求(登録不要・無料で請求書・見積書を作れるアプリ)の時間の記録から 2 枚とも出せます。アプリ内の「スイスイ請求時間管理」で取引先とプロジェクト(時間単価 5,000 円)を作り、画面上部の日付を切り替えながら各日を手入力します。
「作業報告書(PDF)」で見出しを「稼働報告書」に変えて印刷 / PDF 保存すると、合計は実測 41:50 のままです。「請求書をつくる」は既定が 15 分・切り上げ・明細ごとなので、明細は 42 時間 × 5,000 円の 210,000 円、合計は税込 231,000 円になります。
請求書の最終ページには報告書と同じ日別の内訳が付き、その見出しも編集画面で「稼働報告書」に直せます。報告書の PDF は帳票の件数に数えず、請求書は無料の月 10 件のうち 1 件で、取引先は請求書側と同じマスタの無料 3 件に入ります。
紙面の表は作業日・作業内容・時間の 3 列と合計だけで、開始・終了時刻や休憩、承認印の欄はありません。相手からその欄を求められたら、相手の様式に記録の数字を写します。
登録ゼロ・開いて 1 分、今日の 1 枚がもう出せる。メールアドレスもアカウント作成も要りません。ブラウザで開いて、そのまま作成・PDF 保存。登録不要で請求書を作る →毎月 10 件まで無料・勝手に有料にはなりません報告書の画面は印刷 / PDF 保存までで、相手へは自分のメールから送ります。手入力の欄は時間量だけで、開始・終了の時刻は入れられません。
紙面の下の注記は丸めて計算した旨の決まった一文で、記入例 1 のような月額固定でも出ます。取引先へのメール送信をアプリの中で済ませるには有料の契約が要り、スマホの場合もブラウザから使います。
差の 10 分は丸めから生まれましたが、2 枚の時間がずれる原因はほかにもあります。
報告書と請求書の時間がずれる3つの原因(合計してから丸めるか、1件ずつ丸めるか)
ずれの原因は丸めの単位と向き、丸めるタイミング、請求しない作業の 3 つで、どれも報告書の時間は実測のまま書き換えません。
1 つ目は丸めの単位と向きです。同じ 41:50 でも、15 分単位の切り上げなら 42.00 時間、切り捨てなら 41.75 時間で税抜 208,750 円です。
何分単位にするかを決めていなければ、請求の前に相手と合わせます。聞き方は時給の請求書の書き方の端数の節にあります。
条文に丸めの単位の語はなく、金額の代わりに算定方法の明示で足りる場面も、具体的な金額の明示が困難なやむを得ない事情があるときに限られます(前掲 規則 1 条 3 項)。単位と向きは時間単価を決めるときに書面へ一緒に残すと、月末の差を説明しやすくなります。
2 つ目は丸めるタイミングです。1:05 と 0:50 の 2 件は、合計してから 15 分単位で切り上げると 2:00、1 件ずつ切り上げてから足すと 1:15 + 1:00 = 2:15 です。
時間単価 5,000 円なら、この 15 分で 1,250 円違います。契約の「15 分単位」が月の合計に掛かるのか、1 回の作業ごとに掛かるのかを読み分けます。
3 つ目は請求しない作業です。社内の勉強会 2 時間も報告に載せるなら報告書の合計は 43:50 で、請求書は 41:50 から丸めた 42.00 時間のままです。
その行には「請求対象外」と書き、合計の下に請求対象の 41:50 を添えると、2 枚を照らし合わせられます。
原因が分かったところで、月末に 2 枚を出す順番に移ります。
月末は稼働報告書を先に出し、確認を受けてから請求書を出す
報告書を先に送り、相手が時間を確かめてから請求書を出すと、食い違いがあっても直すのは報告書 1 枚で済みます。記入例 2 なら、10 月分の報告書を 11 月 2 日(月)に送り、返事を待って請求書を出す流れです。
この順番は本記事の提案で、契約に提出日や様式の定めがあればそちらに合わせます。返事が請求の時期までに来なければ、報告書を送った日を備考に書いて請求書を出します。
645 条の報告の場面は、委任者から求められたときと、委任が終わった後の 2 つです(前掲)。準委任の契約が終わったら、経過と結果を遅滞なく報告します。
請求できる時期が準委任と請負でどう違うかは、フリーランスエンジニアの請求書の書き方の条文の節にあります。
よくある質問
Q1. 稼働報告書は請求書と同じ PDF にしてもよいですか?
添付の要否や形は、契約や相手の指定で決まります。指定がなければ、請求書の最終ページに付けて 1 つの PDF にしても、報告書だけ別の PDF で出してもかまいません。
Q2. 精算幅(140〜180 時間など)がある契約では、報告書の合計をどう扱いますか?
合計時間が精算の基準になるので、基準が実測か丸めた後かを契約で確かめます。請求書の備考には当月の稼働時間、報告書には日別の内訳、という分担です。
精算の行の書き方は、フリーランスエンジニアの請求書の書き方の精算幅の節にあります。
Q3. 月の途中で「ここまでの稼働を出して」と言われたら?
準委任なら、645 条の「委任者の請求があるときは、いつでも」の場面です。10 月 20 日(火)に求められたら 10 月 1 日〜20 日の実測で 1 枚を作り、請求書は契約で決めた時期に出します。
まとめ: 次にやること
- 契約書で、報告の様式と、丸めの単位・向きの取り決めを確かめる
- 今月の作業を、日ごとに実測の時間で残す
- 請求書に丸めた時間を書き、報告書との差を備考に 1 行で添える
報告書は記録、請求書は契約という別の物差しで書くので、時間が揃わない月も差の 1 行で説明が付きます。
月末のたびに表計算の記録から報告書を作り、合計を丸め直して請求書に打ち直すと、同じ時間を 2 度写す作業が残ります。
日ごとの記録を 1 か所に置き、報告書と請求書をそこから出せる道具なら、月末の作業は数字の見直しだけになります。
「作業報告書(PDF)」の紙面は、スイスイ請求で記録した実測を日別に並べ、請求書の最終ページにも同じ形で付きます。
関連記事
稼働の内訳を添える請求書も、登録不要で開いて 1 分。時間管理で記録した作業を、請求書の最終ページに日別の内訳として付けられます。登録不要で請求書を作る →毎月 10 件まで無料・勝手に有料にはなりません
※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務・法務に関する助言ではありません。業務委託の契約が準委任か請負か、報告をどこまで求められるかは個別の事情で変わるため、契約の相手や弁護士などの専門家にご確認ください。


