紹介料の請求書の書き方|成約額×10%の記入例と消費税の判定
紹介料の請求書は、品目を「◯◯紹介手数料」にして成約金額×料率を単価と数量に分ければ作れます。成約1,200,000円×10%と定額50,000円で小計170,000円・消費税17,000円・請求187,000円の記入例と消費税の判定つき。
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紹介料の請求書は、品目を「顧客紹介手数料(◯◯株式会社様ご成約分)」のように何を紹介した対価かが読める名目にして、成約金額 × 料率は計算した金額を単価に、件数を数量に入れれば成立します。源泉徴収税額の行を、あらかじめ置く必要は原則ありません。
この記事でわかること
- 品目は「紹介料」の 3 文字で止めず、対象と役務が特定できる名目で書くこと
- 成約金額 × 料率は、単価と数量に分けて明細 1 行に落とせること
- 消費税を上乗せできるかは「事業として」行っているかで分かれること
- 支払期日は、従業員を使う事業者から委託を受けたなら役務の提供を受けた日から 60 日以内で定められること
国税庁のタックスアンサーと条文を確認しながら、記入例つきで整理します。
結論: 紹介料の請求書は「◯◯紹介手数料」の明細行に成約額×料率を書けば作れる【記入例】
紹介料の請求書は、品目に「顧客紹介手数料(◯◯株式会社様ご成約分)」と書き、成約金額 × 料率で計算した金額を単価、件数を数量に置いた明細行を並べれば作れます。紹介した先が顧客でも取引先でも物件でも、明細の構造は変わりません。
| 品目 | 単価・数量 | 金額 |
|---|---|---|
| 顧客紹介手数料(◯◯株式会社様ご成約分・成約金額 1,200,000 円 × 10%) | 120,000 円 × 1 件 | 120,000 円 |
| 顧客紹介手数料(△△株式会社様ご成約分・定額) | 50,000 円 × 1 件 | 50,000 円 |
| 小計 | 170,000 円 | |
| 消費税(10%) | 17,000 円 | |
| ご請求金額 | 187,000 円 |
発行日は 2026 年 8 月 31 日、請求書番号は 2026-08-001 としました。備考欄には成約日(8 月 18 日・8 月 25 日)、業務提携契約書 第◯条に基づく旨、支払期日 2026 年 9 月 30 日を添えています。成約金額・料率・定額は説明用に置いた例で、相場ではありません。
紹介料の請求書に必要な項目
インボイス(適格請求書)として発行するなら、記載事項は ①発行者の氏名または名称と登録番号 ②取引年月日 ③取引内容 ④税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率 ⑤税率ごとに区分した消費税額等 ⑥交付を受ける事業者の氏名または名称、の 6 項目です(国税庁 タックスアンサー No.6625・2026-08-23 確認)。適格請求書を交付できるのは、税務署長の登録を受けた事業者だけです(前掲 No.6625)。
登録番号は「T + 13 桁」で、登録していないならこの欄そのものを設けません。請求書番号・振込先・支払期日は 6 項目の外ですが、入金処理のために置きます。屋号を持たず個人名で出す場合の書き方は副業会社員の請求書の書き方にまとめています。
品目(名目)は「紹介料」と「紹介手数料」どちらで書く?
どちらの語でも請求書は成立しますが、「紹介料」や「謝礼」の 3 文字で止めず、「顧客紹介手数料(◯◯株式会社様ご成約分)」のように対象と役務まで書きます。請求書の品目は税務上の有利不利を作る欄ではなく、何の対価かを支払う側に伝える欄です。
名目が漠然としていると支払う側の担当者が処理を決められず、稟議が止まって入金がずれることがあります。件名にも対象月と成約分を入れ、備考には成約日と契約の条項を書きます。
名目を「謝礼」に言い換えても税の扱いは変わりません。国税庁も、謝礼などの名目で支払われていても実態が報酬・料金等と同じであれば源泉徴収の対象になるとしています(国税庁 タックスアンサー No.2792 注意事項 2・2026-08-23 確認)。
成約金額の◯%で決まる紹介料の書き方(単価・数量の入れ方)
成約金額 × 料率で決まる紹介料は、計算した金額を単価に、件数を数量に入れ、成約金額と料率は品目の括弧か備考に残します。単価の欄に「成約金額の 10%」と書くと、単価 × 数量 = 金額の検算が成り立たなくなります。
記入例の 1 行目は、成約金額 1,200,000 円に料率 10% をかけた 120,000 円が単価、数量が 1 件です。2 行目は定額型の紹介料で、単価 50,000 円 × 1 件。2 行を足した小計 170,000 円に消費税 10% をかけると 17,000 円で、ご請求金額は 187,000 円になります。
連動型と定額型が混ざる月も、成約案件が複数ある月も、同じ「顧客紹介手数料」で案件ごとに 1 行ずつ立てて 1 枚にまとめます。まとめ方の作法はまとめ請求書(合計請求書)の書き方で整理しました。
では、この金額に消費税を上乗せして請求してよいのでしょうか。
紹介料に消費税を上乗せしていい?
紹介という役務の提供を事業として行っているなら、紹介料は消費税の課税対象で、請求書に消費税を上乗せして書けます。個人が受け取る紹介料だから消費税は関係ない、と考えがちなところです。
消費税の課税対象は「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」に限られ、この「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を反復、継続かつ独立して行うことをいいます(国税庁 タックスアンサー No.6105・2026-08-23 確認)。同じページは、個人の中古車販売業者が行う中古車の販売は事業として行う取引になるが、給与所得者がたまたま自家用車を売却する行為などはそうならない、という例を挙げています(前掲 No.6105)。
紹介を業務として反復・継続して引き受けているなら前者に、知人を一度だけ引き合わせた謝礼は後者に近い当てはめになります。境目にある取引の課否は、税務署か税理士に確認してください。登録していない免税事業者としてどう書くかは免税事業者の請求書の書き方にまとめています。
支払う側の控除の扱いも 2026 年(令和 8 年)に変わります。インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの一定割合を控除できる経過措置は、令和 8 年度税制改正で適用期限が 2 年間延長されたうえで、8 割控除が 7・5・3 割控除に見直されました。7・5・3 割控除は、一のインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの合計額(税込み)がその年または事業年度で 1 億円(改正前は 10 億円)を超える部分には適用できません(令和 8 年 10 月 1 日以後に開始する課税期間から適用。国税庁 令和 8 年度税制改正特集・2026-08-23 確認)。
源泉徴収の欄は必要?
紹介料の請求書に、源泉徴収税額の行をあらかじめ置く必要は原則ありません。個人への業務委託だから源泉の行は付けておくのが無難、と考えがちなところです。国税庁が居住者について挙げる 8 区分(原稿料や講演料など、特定の資格を持つ人などへの報酬、社会保険診療報酬、プロ野球選手やモデル・外交員など、芸能やテレビジョン放送等の出演等、ホステスなど、契約金、広告宣伝のための賞金と競馬の賞金)に、紹介料や仲介手数料は挙げられていません(前掲 No.2792)。
ただし、この 8 区分は「源泉徴収の対象となる代表的なもの」として示されたものです(前掲 No.2792)。相手が源泉徴収をして入金してきたときは、支払通知書などで差し引かれた金額を確認します。差し引かれた税額の計算と確定申告での精算は講師料の請求書の書き方で扱いました。
区分の書き方も効いてきます。No.2792 の注意事項は「請求書等において、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません」としているので(前掲 No.2792)、小計 170,000 円と消費税 17,000 円を分けておけば、税抜の 170,000 円を基準にできます。
では、その 187,000 円はいつまでに入金してもらえるのでしょうか。
支払期日は何日以内にできる?(フリーランス法の60日ルール)
あらかじめ紹介業務の委託を受けていて、従業員を使用しない個人として請求するなら、従業員を使用する事業者などの「特定業務委託事業者」から委託を受けた場合の報酬の支払期日は、役務の提供を受けた日から起算して 60 日の期間内で、かつできる限り短い期間内に定められます(フリーランス法 4 条 1 項)。従業員を使用しない個人は同法 2 条 1 項 1 号の「特定受託事業者」にあたり、紹介業務の委託は 2 条 3 項 2 号の「役務の提供」の委託にあたるため、4 条 1 項の括弧書きにより起算日が「役務の提供を受けた日」になります。委託した側も従業員を使わない個人事業者であれば特定業務委託事業者にあたらず、この支払期日の義務は適用されません(同法 2 条 6 項)。
支払期日が定められなかったときは給付を受領した日(役務提供型なら役務の提供を受けた日)が、4 条 1 項に違反して定められたときは起算日から 60 日を経過する日が、それぞれ支払期日と定められたものとみなされます(同条 2 項)。取引条件の側にも定めがあり、業務委託事業者は業務委託をした場合、直ちに、給付の内容・報酬の額・支払期日その他の事項を書面または電磁的方法で明示しなければなりません(同法 3 条 1 項)。
請求書の支払期日欄には、そこで明示された日付を書きます(記入例では 2026 年 9 月 30 日)。委託を受けずに持ち込んだ紹介は業務委託ではないので、入金の期限は契約書か発注メールで先に決めておいてください。
紹介する対象が「人の採用」になると、そもそも適用される法律の枠が変わります。
人材(採用)の紹介で手数料を受け取るときの注意
顧客・物件・業者の紹介と、人の採用のあっせんは、別の法律の枠にあります。有料の職業紹介事業を行おうとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければなりません(職業安定法 30 条 1 項)。
手数料の側にも規定があります。許可を受けた有料職業紹介事業者は、厚生労働省令で定める種類および額の手数料を徴収する場合などを除いて、職業紹介に関し、いかなる名義でも実費その他の手数料または報酬を受けてはならないとされ、求職者からは手数料を徴収してはならないとされています(求職者の利益のために必要と認められる場合の例外はあります。同法 32 条の 3 第 1 項・2 項)。労働者の募集を行う者も、募集に従事する被用者や募集受託者への賃金等を支払う場合などを除き、報酬を与えてはならないとされています(同法 40 条)。
知人を 1 回引き合わせただけの謝礼が直ちにこの枠に入るわけではなく、該当性は事業の実態で判断されます。人の採用のあっせんで反復して手数料を受け取る形になりそうなら、請求書を出す前に厚生労働省または都道府県労働局へ確認してください。不動産の仲介手数料には、宅地建物取引業法という別の規制があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 複数件の紹介をまとめて 1 枚で請求してよいですか?
問題ありません。記入例も 2 件を 1 枚にまとめた形で、成約分ごとに明細行を分け、品目の括弧に対象と成約金額 × 料率を書いています。
Q2. 消費税の端数はどこで処理しますか?
1 枚の適格請求書につき、税率ごとに 1 回です(国税庁 インボイス Q&A 問 57・令和 6 年 4 月改訂)。記入例でも、小計 170,000 円に対して消費税 17,000 円を 1 回で計算しています。明細行ごとに 10% をかけて足し上げる書き方は避けてください。
Q3. 紹介にかかった交通費も請求できますか?
契約次第です。請求できる取り決めなら、紹介手数料の行とは分けて立てます。立て替えた費用の書き方は立替経費の請求書の書き方にまとめています。
Q4. 入金後に領収書を求められたら、但し書きはどう書きますか?
請求書の品目と揃えます。「顧客紹介手数料として」のように、請求書と同じ役務が読める形にします。
Q5. 成約後に解約され、紹介料の返金を求められたら?
契約書の返金規定を確認してください。既に発行した請求書を取り消すのか、次回分と相殺するのかも、先に取引先と合わせておきます。
Q6. 発行した請求書の控えは、いつまで保存しますか?
交付した適格請求書等の写しには保存義務があります(国税庁 タックスアンサー No.6498・2026-08-21 確認)。保存期間は、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から 2 月を経過した日から 7 年間です(国税庁 インボイス制度 Q&A 問 79・2026-08-21 確認)。
まとめ: 紹介料の請求書は「名目を特定し、料率は単価と数量に割る」で整う
- 契約書か発注メールで、料率または定額の金額・成約の定義・支払期日・返金規定を確認する
- 品目を「顧客紹介手数料(◯◯株式会社様ご成約分)」の形にし、成約金額と料率を括弧か備考に残す
- 成約金額 × 料率で計算した金額を単価、件数を数量に入れ、連動型と定額型は行を分ける
- 小計に対して消費税を 1 回だけ計算し、支払期日は契約で明示された日付を書く
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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務・法務に関する助言ではありません。消費税・源泉徴収・インボイス登録の個別の判断は、国税庁タックスアンサー・税務署・税理士等の専門家に、契約の個別の解釈や職業紹介事業の該当性は、取引先・弁護士・厚生労働省(都道府県労働局)等の所轄の窓口にご確認ください。
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