協賛金の請求書の書き方|消費税の判定と広告掲載の記入例
協賛金の請求書は、広告掲載など見返りの内容を品目に書けば作れます。1口100,000円と30,000円×2口で小計160,000円・消費税16,000円・請求176,000円の記入例つき。消費税は対価性で分かれます。
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協賛金の請求書は、品目に「協賛金(ゴールド協賛・パンフレット1ページ広告掲載)」のように協賛プラン名と見返りの内容まで書き、1 口の金額を単価、口数を数量に入れれば作れます。広告掲載やロゴ掲出のような見返りがある協賛なら、協賛を事業として行っている限り、消費税を上乗せして請求するのが原則です。源泉徴収税額の行を、あらかじめ置く必要は原則としてありません。
この記事でわかること
- 品目は「協賛金」の 3 文字で止めず、協賛プラン名と掲載内容まで書くこと
- 1 口 ◯◯ 円 × ◯ 口は、単価と数量に分けて明細 1 行に落とせること
- 消費税を上乗せできるかは、名目ではなく見返りの有無と、協賛募集を事業として続けているかで分かれること
- インボイスの登録をしていない主催者でも、請求書そのものは出せること
国税庁のタックスアンサーと文書回答事例を確認しながら、記入例つきで整理します。
協賛金の請求書は「協賛プラン名+掲載内容」を品目に書き、1口の単価×口数で作れる【記入例】
協賛金の請求書は、品目に協賛プラン名と見返りの内容を書き、1 口の金額を単価、口数を数量に置いた明細行を並べれば作れます。イベントでも大会でも配信チャンネルでも、構造は変わりません。
| 品目 | 単価・数量 | 金額 |
|---|---|---|
| 協賛金(ゴールド協賛・パンフレット1ページ広告掲載) | 100,000 円 × 1 口 | 100,000 円 |
| 協賛金(シルバー協賛・会場バナー掲出) | 30,000 円 × 2 口 | 60,000 円 |
| 小計 | 160,000 円 | |
| 消費税(10%) | 16,000 円 | |
| ご請求金額 | 176,000 円 |
発行日と請求書番号、「◯◯フェスティバル実行委員会 代表 佐藤 太郎」のような団体名と代表者名、備考の開催日・協賛規約の条項・お支払期日は図のとおりです。1 口の金額とプラン名は説明のために置いた数字で、相場を示すものではありません。
協賛金の請求書に必要な項目
受け取る側が仕入税額控除のために保存する適格請求書の記載事項は ①発行者の氏名または名称と登録番号 ②取引年月日 ③取引内容 ④税率ごとに区分して合計した対価の額と適用税率 ⑤税率ごとに区分した消費税額等 ⑥交付を受ける事業者の氏名または名称、の 6 項目です(国税庁 タックスアンサー No.6625・2026-08-24 確認)。発行する側は、この 6 項目が載る形で作ります。
登録番号は「T + 13 桁」で、登録していないならこの欄そのものを設けません。請求書番号・振込先・お支払期日は 6 項目の外ですが、入金処理のために置きます。個人名や屋号での出し方は副業会社員の請求書の書き方にまとめています。
品目は「協賛金」だけでいい?(プラン名と掲載内容の書き方)
「協賛金」の 3 文字だけでも請求書は成立しますが、協賛プラン名と見返りの内容まで書きます。協賛では、品目が支払う側の稟議書にそのまま転記される欄になるからです。
「協賛金 一式」とだけ書かれた 1 枚では、支払う側の担当者が何に対する支出なのかを読み取れず、稟議が止まって入金がずれることもあります。「協賛金(ゴールド協賛・パンフレット1ページ広告掲載)」まで書けば、掲載枠と対価の関係が 1 行で伝わります。
件名にはイベント名と回次を入れ、備考には開催日や掲載原稿の入稿期限を書きます。名目を「賛助金」「スポンサー料」「広告掲載料」に言い換えても、扱いは名目では決まりません。「協賛」「後援」「協力」「特別協賛」の区分も、法令が定義しているわけではなく、主催者が募集要項で定めるものです。スポットで 1 枚だけ出す請求書の名目の作り方は紹介料の請求書の書き方でも扱いました。
1口◯◯円×◯口の書き方(単価・数量の入れ方)
1 口 ◯◯ 円 × ◯ 口は、1 口の金額を単価、口数を数量に入れ、プランが混ざるときは行を分けます。単価の欄に「ゴールド協賛 1 口」と書いて数量を空にすると、単価 × 数量 = 金額の検算が成り立たなくなります。
記入例の 1 行目は、ゴールド協賛の 1 口 100,000 円が単価、数量が 1 口です。2 行目はシルバー協賛で、単価 30,000 円 × 2 口の 60,000 円。2 行を足した小計 160,000 円に消費税 10% をかけると 16,000 円で、ご請求金額は 176,000 円になります。
宛名が違う会社の協賛を 1 枚にまとめることはできませんが、同じ会社が複数のプランで協賛してくれたなら、明細行を分けて 1 枚に収められます。1 枚にまとめるときの作法はまとめ請求書(合計請求書)の書き方で整理しました。
「パンフレット1ページ広告掲載」と品目に書くこと自体が、この協賛に見返りがあることを 1 枚の上で示す働きをします。では、その 160,000 円に消費税を上乗せしてよいのでしょうか。
協賛金に消費税を上乗せしていい?(対価性で決まる)
協賛を募る活動を事業として反復・継続して行っていて、広告掲載やロゴ掲出などの見返りがある協賛なら、その協賛金は対価を得て行う取引として扱われ、請求書に消費税を上乗せして書けます。協賛金は寄付の一種だから、請求書に消費税の行を作るのはおかしい。協賛を募る側からは、そう見えます。
消費税の課税対象は「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」に限られ、この「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を反復、継続かつ独立して行うことをいいます(国税庁 タックスアンサー No.6105・2026-08-23 確認)。同じページは、個人の中古車販売業者が行う中古車の販売は事業として行う取引になるが、給与所得者がたまたま自家用車を売却する行為などはそうならない、という例を挙げています(前掲 No.6105)。毎年開催しているイベントの協賛募集は前者に、一度だけの催しのために集めた協賛金は後者に近い当てはめになります。同じページは、寄附金や補助金などは一般的には対価とは認められないともしています(前掲 No.6105)。ここだけを読むと、協賛金も不課税に見えます。
分かれ目は名目ではなく、見返りの有無です。国税庁は寄附金について「寄附金の支出は、対価を得て行われる取引ではありませんので、課税仕入れとはなりません。ただし、名目は寄附であっても、その寄附に対価性が認められる場合には課税仕入れとなります」としています(国税庁 タックスアンサー No.6463・2026-08-24 確認)。これは支払う側の扱いの説明ですが、名目ではなく対価性で分かれるという判定軸は、受け取る側にもそのまま使えます。
実際の協賛について、国税庁の文書回答事例が同じ整理を示しています。「瀬戸内しまのわ 2014」の実行委員会は、金銭による協賛に係る支出について「課税仕入れに係る対価の額に該当することになると考えます」という整理を示して照会し、広島国税局は「ご照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありません」と回答しました(広島国税局 文書回答事例・2026-08-24 確認)。第 66 回国民体育大会(山口国体)の広告協賛についても、同じ整理で照会が行われ、同局が同じ形で回答しています(広島国税局 文書回答事例・2026-08-24 確認)。いずれも社名やロゴの掲載、会場看板、パンフレット掲載といった広告宣伝の特典を伴う協賛について、照会された個別の事実関係を前提に回答したもので、すべての協賛金に当てはまると読めるものではありません。
逆に、見返りがまったくない純粋な寄附なら、課税の対象とならない取引に近づきます。国税庁も不課税の具体例として寄附金を挙げています(国税庁 タックスアンサー No.6157・2026-08-23 確認)。協賛金は必ず課税、あるいは必ず不課税と割り切れる論点ではないので、募集要項に書いた特典の中身を見て判断し、迷うときは税務署か税理士に確認してください。
源泉徴収の欄は必要?
協賛金の請求書に、源泉徴収税額の行をあらかじめ置く必要は原則としてありません。支払う会社の経理から「源泉は引きますか」と聞かれて、行を足すべきか迷う場面です。国税庁が居住者について挙げる 8 区分(原稿料や講演料など、特定の資格を持つ人などへの報酬、社会保険診療報酬、プロ野球選手やモデル・外交員など、芸能やテレビジョン放送等の出演等、ホステスなど、契約金、広告宣伝のための賞金と競馬の賞金)に、協賛金・スポンサー料・広告掲載料は挙げられていません(国税庁 タックスアンサー No.2792・2026-08-23 確認)。
ただし、この 8 区分は「源泉徴収の対象となる代表的なもの」として示されたものです(前掲 No.2792)。相手が源泉徴収をして入金してきたときは、支払通知書などで差し引かれた金額を確認します。差し引かれた税額の計算は講師料の請求書の書き方で扱いました。
No.2792 の注意事項は「請求書等において、報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません」としているので(前掲 No.2792)、小計 160,000 円と消費税 16,000 円を分けておけば、税抜の 160,000 円を基準にできます。
源泉の行を置かずに 1 枚が整ったところで、そもそもこの請求書は出す必要があるのか、という問いが残ります。
そもそも協賛金に請求書は必要?(受領書で足りる場合との違い)
法律が協賛金の請求書の発行を一律に義務づけているわけではなく、必要かどうかは相手の経理処理と協賛規約で決まります。見返りのある協賛は取引なので、支払う側の経理が支出の根拠として請求書を求めるのが通常です。
見返りがまったくない純粋な寄附を募っているなら、請求書ではなく、募集要項と振込先の案内を出して、入金後に受領書を渡す形になることもあります。
お支払期日は、協賛規約や協賛申込書に書いた日付をそのまま転記します。記入例では 2026 年 10 月 30 日としました。
入金後に領収書を求められることも多いので、但し書きは請求書の品目と揃えておきます。
インボイス登録していない主催者はどうする?
インボイス発行事業者の登録をしていなくても、請求書そのものは出せます。適格請求書を交付できるのは税務署長の登録を受けた事業者だけですが(前掲 No.6625)、登録のない主催者が請求書を出してはいけない、という決まりではありません。
違いは、登録番号の欄を設けないことです。日付・宛名・品目・金額・発行者を書いた区分記載の請求書なら、支払う側の経理も処理を進められます。消費税の行そのものは、税率ごとに区分した記載であれば区分記載の請求書としても書けます。登録番号のない請求書で消費税をどう書くかは免税事業者の請求書の書き方にまとめています。
協賛企業側の控除の扱いも 2026 年(令和 8 年)に変わります。インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの一定割合を控除できる経過措置は、令和 8 年度税制改正で適用期限が 2 年間延長されたうえで、8 割控除が 7・5・3 割控除に見直されました。7・5・3 割控除は、一のインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの合計額(税込み)がその年または事業年度で 1 億円(改正前は 10 億円)を超える部分には適用できません(令和 8 年 10 月 1 日以後に開始する課税期間から適用。国税庁 令和 8 年度税制改正特集・2026-08-23 確認)。
協賛を募る段階で、インボイスの登録の有無を募集要項に書いておくと、後で揉めにくくなります。登録したほうがよいかどうかは、税務署か税理士に相談してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 複数のプランをまとめて 1 枚で請求してよいですか?
同じ会社からの協賛なら問題ありません。記入例もゴールドとシルバーの 2 プランを 1 枚にまとめ、プランごとに明細行を分けています。
Q2. 消費税の端数はどこで処理しますか?
1 枚の適格請求書につき、税率ごとに 1 回です(国税庁 インボイス Q&A 問 57・令和 6 年 4 月改訂)。記入例でも、小計 160,000 円に対して消費税 16,000 円を 1 回で計算しています。明細行ごとに 10% をかけて足し上げる書き方は避けてください。
Q3. 入金後に領収書を求められたら、但し書きはどう書きますか?
請求書の品目と揃えます。「協賛金(ゴールド協賛)として」のように、何に対する入金かが読める形にします。
Q4. 物品の提供や会場の貸与など「現物協賛」も請求書に載せますか?
金銭のやり取りがない分は明細に載せず、備考で内容を確認します。文書回答事例でも、金銭による協賛と物品・役務提供による協賛は分けて整理されています(前掲 広島国税局 文書回答事例)。
Q5. 個人名で出してよいですか?屋号や団体名はどうしますか?
団体名に代表者名を添えた形で出せます。実行委員会やサークルで活動している場合も、発行者欄の書き方は同じです。
Q6. 発行した請求書の控えは、いつまで保存しますか?
交付した適格請求書等の写しには保存義務があります(国税庁 タックスアンサー No.6498・2026-08-21 確認)。保存期間は、交付した日の属する課税期間の末日の翌日から 2 月を経過した日から 7 年間です(国税庁 インボイス制度 Q&A 問 79・2026-08-21 確認)。
まとめ: 協賛金の請求書は「見返りを品目に書き、1口を単価と数量に割る」で整う
- 協賛規約と協賛申込書で、プランごとの 1 口の金額・見返りの内容・口数・お支払期日を確認する
- 品目に協賛プラン名と掲載内容を書き、件名にイベント名と回次を入れる
- 1 口の金額を単価、口数を数量に入れ、プランが混ざるときは行を分ける
- 見返りがあるなら小計に対して消費税を 1 回だけ計算し、お支払期日は協賛申込書の日付を転記する
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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務・法務に関する助言ではありません。協賛金に消費税を上乗せしてよいかを含む個別の課否の判断は、国税庁タックスアンサー・所轄の税務署・税理士等の専門家に、協賛規約や協賛申込書の個別の解釈は、取引先・弁護士等にご確認ください。
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