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会費の請求書の書き方|不課税と課税の判定・インボイスの扱い

会費の請求書は、通常会費と会報誌代で行を分けて書けます。通常会費30,000円(不課税)+購読料6,000円(消費税600円)=36,600円の記入例つき。「非課税」と「不課税」の違いと、インボイスの扱いも解説します。

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会費の請求書の書き方|不課税と課税の判定・インボイスの扱い

会費の請求書は、通常会費と会報誌代で行を分ければ 1 枚に収まります。会費が消費税の対象から外れるときの理由は「非課税」ではなく「不課税」で、請求書に書き添える一文も変わります。

この記事でわかること

  • 国税庁が挙げる「主な非課税取引」17 類型に、会費・年会費・組合費は入っていない
  • 通常会費は「資産の譲渡等の対価に該当しないものとして取り扱って差し支えない」(消費税法基本通達 5-5-3 (注) 1)
  • 判定が困難な会費を不課税として扱う団体には「その旨をその構成員に通知するものとする」の定めがある(同 (注) 3)
  • 名目が会費でも、実質が出版物の購読料や職員研修の受講料なら対価に該当する(同 (注) 2)

会費の請求書の記入例(通常会費と会報誌代を分けた1枚)

品目に年度と会費の種別を書き、通常会費の行と課税対象の行を分けます。消費税は課税対象の行にだけかけ、不課税として処理している旨は備考欄に書き添えます。

品目単価・数量金額
2026年度 通常会費(不課税)30,000 円 × 1 件30,000 円
会報誌「◯◯ジャーナル」年間購読料(10%対象)6,000 円 × 1 件6,000 円
不課税分 小計30,000 円
10% 対象 小計6,000 円
消費税(10%)600 円
ご請求金額36,600 円

会費の請求書の記入例。2026年度 通常会費(不課税)30,000円と会報誌の年間購読料(10%対象)6,000円を行で分け、消費税600円・ご請求金額36,600円。備考に会則の条項、不課税として継続処理している旨、納入期限

発行日と請求書番号、団体名と事務局名、件名、備考の中身は図のとおりです。30,000 円と 6,000 円は説明のために置いた金額で、会費の相場ではありません。

この 1 枚で迷うのは、品目の書き方、消費税を上乗せしてよいか、インボイスをどうするかの 3 点です。

会費の請求書に必要な項目

適格請求書に載せる記載事項として、国税庁は次の 6 項目を挙げています(国税庁 タックスアンサー No.6625・2026-09-06 確認)。

  • 発行者の氏名または名称と登録番号
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した税込または税抜の対価の額と適用税率
  • 税率ごとに区分した消費税額等
  • 交付を受ける事業者の氏名または名称

インボイス発行事業者の登録を受けていない団体は、登録番号の欄そのものを作りません。入金の消し込みに使う請求書番号と振込先、それに納入期限は、この 6 項目とは別に置いておきます。

発行者は「一般社団法人◯◯協会 事務局」のように、団体名と窓口を並べて書きます。代表者名を添えても構いません。

発行者名や請求書番号、振込先の並べ方は副業の請求書の書き方に記入例があります。納入期限の日付は、会則か入会案内に書いてある日をそのまま使います。

品目は「会費」だけでいい?(年度と種別の書き方)

品目は「2026年度 通常会費」のように、年度と会費の種別まで特定して書きます

「会費」の 2 文字だけの 1 枚では、受け取った会員企業の経理が課税か不課税かを判断できません。稟議がそこで止まり、入金が翌月にずれることがあります。

会報誌代・研修の受講料・施設の利用料が混ざるときは、明細行を分けます。分ける根拠は、次の節で通達の当てはめとして扱います。

件名には「2026年度 会費のご請求」と年度を入れ、備考には会則の条項と納入期限を書きます。

同じ対価性で課否が動く書類でも、イベントの協賛金は会費とは別の基準で判定します(協賛金の請求書の書き方)。

会報誌代を別の行にすれば、どこまでが通常会費なのかが明細の上で読めます。通常会費の行と購読料の行は、スイスイ請求(登録不要・無料で請求書・見積書を作れるアプリ)で明細を 2 行にすれば別々に入ります。

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行を分けた時点で、次の問いが決まります。通常会費の行に消費税を掛けてよいのか、です。

会費に消費税を上乗せしていい?(非課税ではなく不課税)

通常会費として扱うなら消費税は上乗せせず、会報誌代のように実質が対価と認められる行にだけかけます

「会費は非課税だから、消費税の行は要らない」。会費を集める側からは、そう見えます。

ただし非課税とされているのは、土地の譲渡や住宅の貸付け、学校教育など消費税法別表第二に挙げられた取引です(国税庁 タックスアンサー No.6201・2026-09-06 確認)。国税庁が挙げる「主な非課税取引」の列挙に、会費は入っていません(同)。

会費が消費税から外れるときの筋道は、そもそも資産の譲渡等の対価に当たらないという別のものです。消費税がかかるのは国内で行う資産の譲渡等のうち対価を得て行うもので、しかも事業者が事業として行うものに限られます(国税庁 タックスアンサー No.6105・2026-09-06 確認)。

通達は、同業者団体や組合等がその構成員から受ける会費・組合費等について、明白な対価関係があるかどうかで判定するとしています(消費税法基本通達 5-5-3・2026-09-06 確認)。

団体としての通常の業務運営のために経常的に要する費用を構成員に分担させるものが、いわゆる通常会費です(同 (注) 1)。通常会費は「資産の譲渡等の対価に該当しないものとして取り扱って差し支えない」とされています(同)。

判定が困難なものは、団体側が対価に該当しないものとし、支払う事業者側も課税仕入れとしない処理を継続しているなら、これを認めるとしています(同)。

一方、名目が会費等でも、実質が出版物の購読料、映画・演劇等の入場料、職員研修の受講料、施設の利用料等と認められるときは、対価に該当します(同 (注) 2)。会報誌代を別の行にするのは、この当てはめです。

支払う側の課税仕入れについても、国税庁は団体から受ける役務の提供などとの間に明らかな対価関係があるかどうかで判定するとしています(国税庁 タックスアンサー No.6467・2026-09-06 確認)。判定軸は同じで、こちらは会費を支払う側の仕入税額控除についての説明です(同)。

会費だから不課税、と機械的に決まるものではありません。個別の課否は、所轄の税務署または税理士に確かめてください。

記入例で明細を 2 行に分けたのは、この判定をそのまま 1 枚の上に写すためです。

不課税として扱うなら「その旨を会員に通知する」(請求書が通知を兼ねる)

判定が困難な会費を対価に該当しないものとするなら、団体には構成員へ通知する動作が求められています

通達の (注) 3 は「同業者団体、組合等は、その旨をその構成員に通知するものとする」と書いています(消費税法基本通達 5-5-3 (注) 3・2026-09-06 確認)。求められているのは通知そのもので、方法までは定められていません(同)。

毎年出す会費の請求書は、会員一人ひとりに届く数少ない書面です。備考欄に「通常会費は消費税の課税対象とならないものとして継続して処理しています」と書き添えると、通知と記録が 1 枚で済みます。

備考に書けば通知として足りる、と通達が定めているわけではありません。会則や入会案内にも同じ文言を置いておく形が実務的です。

この扱いは、継続して処理していることが前提です。年によって課税と不課税を行き来させる書き方はしません。

通知を書き添えた 1 枚には、もうひとつ聞かれる欄が残っています。登録番号です。

インボイス登録していない団体はどうする?

登録の有無より先に、通常会費を対価に当たらないものとして扱うなら、適格請求書の交付義務の話にそもそも入りません

交付義務は、課税資産の譲渡等を行った適格請求書発行事業者が、課税事業者である相手から求められたときに生じるものです(e-Gov 法令検索「消費税法」第 57 条の 4 第 1 項・2026-09-06 確認)。「登録していないから請求書を出せない」という話とは、そもそも別の筋です。

登録番号の欄を設けない区分記載の請求書なら、これまでどおり出せます。会員企業の経理も、日付・宛名・品目・金額・発行者がそろっていれば支払処理を進められます。

会報誌代や受講料の行を混ぜるなら、その部分は課税取引です。登録していない団体は適格請求書を出せないので、会員企業側は経過措置での控除になります。

令和 8 年度税制改正で、登録していない相手からの課税仕入れについての経過措置が見直され、8 割控除は 7・5・3 割控除に変わります(令和 8 年 10 月 1 日以後に開始する課税期間から適用。国税庁 令和 8 年度税制改正特集・2026-09-06 確認)。登録していない同じ相手からの課税仕入れが、年または事業年度で税込み 1 億円を超える部分は対象外です(同)。

登録番号のない 1 枚に消費税相当額をどう載せるかは、免税事業者の請求書の書き方にまとまっています。入会案内の段階で登録の有無を書いておくと、後の確認のやり取りが減ります。

入会金・特別会費・懇親会費は同じ扱い?

入会金と特別会費は会費と同じ判定ですが、レジャー施設の事業者が受ける入会金と、懇親会などの負担金は分かれます

返還しない入会金は、会費と同じく明白な対価関係があるかどうかで判定します(消費税法基本通達 5-5-4・2026-09-06 確認)。判定が困難なときに構成員へ通知するところまで、会費と同じ形です(同)。

通常会費に当たらない特別会費は (注) 1 の扱いから外れるので、明白な対価関係があるかどうかで個別に判定します(同 5-5-3)。

一方、ゴルフクラブ、宿泊施設その他レジャー施設の利用等を目的とする事業者が収受する入会金は、資産の譲渡等の対価に該当します(同 5-5-5)。会員に資格を与えることと引き換えに受け取る、返還しない入会金の話です。

懇親会やイベントの参加費、共同宣伝の負担金も別に扱います。共同行事の主宰者が参加者から収受する負担金・賦課金等は、主宰者において原則として資産の譲渡等の対価に該当するとされています(同 5-5-7・負担割合を定めて仮勘定で経理する場合の例外あり)。

新入会員に出す 1 枚は「入会金 10,000 円 + 2026年度 通常会費 30,000 円 = 40,000 円」の 2 行になります。入会金の額も、説明のために置いた例です。

そもそも会費に請求書は必要?(会員数だけ出す運用)

会費の請求書に一律の発行義務はなく、要るかどうかは会員企業の支払処理と会則で決まります

会員企業側では会費の支出も稟議を通り、その添付書類として請求書を求められることが多くなります。個人会員だけの団体なら、入会案内と振込先の連絡、入金後の受領書で回ることもあります。

請求書は会員 1 名につき 1 枚で、宛名が別なら束ねられません。入会金と初年度会費、会報誌代のように同じ会員に請求するものは、明細行を足して 1 枚に載せられます(合計請求書の書き方)。

会費の請求は、年に 1 回、会員の数だけ同じ内容で出す書類です。前年の 1 枚を写して年度と請求書番号を差し替える運用は、毎月同額の請求書の書き方で扱っている使い回しと同じ考え方になります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 消費税の端数はどこで処理しますか?

消費税の端数は、1 枚の適格請求書につき税率ごとに 1 回だけ処理します(国税庁 適格請求書等保存方式に関するQ&A 問 57・令和 6 年 4 月改訂)。記入例は端数の出ない金額で組んでいます。途中入会で月割りにした年の端数は、時給の請求書の書き方の考え方が使えます。

Q2. 入金後に領収書を求められたら、但し書きはどう書きますか?

但し書きは、請求書の品目と同じ言葉でそろえるのが基本です。「2026年度 通常会費として」のように、何の代金を受け取ったのかが読める言葉にします。用途別の一覧は領収書の但し書きの書き方にまとめてあります。

Q3. 自治会費や町内会費も同じ考え方ですか?

出発点は同じく、明白な対価関係があるかどうかです。ただし通達の名宛人は同業者団体や組合等で、団体の性格と会則によって結論が変わるため、税務署や税理士に確かめてください。

まとめ: 次にやること

  1. 会則で、通常会費・特別会費・入会金の別と、会費の額と納入期限を確認する
  2. 品目を「2026年度 通常会費」と年度と種別で書き、会報誌代など課税の行は分ける
  3. 不課税として継続処理している旨を備考に書き添え、課否に迷うときは税務署か税理士に確認する

会費の請求書は、年度と種別を品目に書き、対価にあたる行だけ税率を分ければ整います。

年に一度、会員の数だけ宛名を差し替えた同じ書類が並びます。

前年の 1 枚を写す、表計算でひな形を持つ、請求書アプリで複製する。やり方はこの 3 つに分かれます。

毎年の 1 枚は、スイスイ請求でも作れます。明細行を分けて備考に会則の条項を入れ、そのまま PDF にできます。

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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としており、税務・法務に関する助言ではありません。会費に消費税を上乗せしてよいかを含む個別の課否は、国税庁タックスアンサー・所轄の税務署・税理士等の専門家にご確認ください。